somewhere sometime
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趙雲の車に乗り込んだ劉備は、気になっていたことを口にした。
「今日はずいぶんと迎えが早かったようだが?
なにかあったのか。」
「…はい。魏グループの総帥より連絡が入りましたので…。」
「……。」
「そうか。」
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「ったく…何だってんだよあの眼は?!」
公園から自宅の部屋に戻った凌統は苛立ちを隠せずにいた。
ベッドに倒れこみシーツを握りしめた。
あの人を連れに来た男。
まぎれもなく劉備の仕事の部下だろう。
それは分かる。だが。
なぜあんなに敵意に満ちた視線を向けられなければいけないのか。
まったく理解できなかった。
もちろん凌統に見ず知らずに男から恨みを持たれるような覚えは一切ない。
思い当たるとすれば。
嫉妬。
(いや…まさかな。)
一見しただけでも整った顔立ちで、真面目そうな女性から好かれるであろうタイプだった。
そんな男が尊敬する上司とは言え…同性である劉備にそのような感情を持つなど、考えられない。
だが、あの眼には自分への敵意を明確に表していた。
敵意?なぜだ。
この現代社会で、ふと目に入った人間を敵だ味方だなど、
ごくごく一部の特異な人間を除いては誰も考えまい。
あの男がそのような特異な人間であれば、劉備が傍に置くこともないだろう。
なぜかそれを確信している自分を不思議だとも思わなかった。
ふと、劉備の笑顔を思い出す。
(劉備…さん…。)
あんな笑顔は見たことがなかった。
数週間後から自分のボスになる男とはまた違う包容力。
ボス…孫堅の父のような目とは違う。
もっと、ただそこにいることを許してくれるような。
(姫の気持ち…分からなくもない、かな。)
たった二度会っただけなのにまた会いたくなる。
何度も彼を待つ少女の気持ちが凌統にも分かり始めてきた。
(また…会えるかな。)
あの冷やかな敵意は気になるが、
あの暖かな笑顔を見られるならば。
「…って?!」
がばり、と凌統は起き上がり、頭を抱え込んだ。
(な…何考えてんだよ俺?
あんな中年のおっさんにまた会いたいって…。
いや、おっさんってほどじゃないだろうけど…
姫の気持ちがわかるって…なんだよそれ?!)
自分の思ったことに混乱する。
あまりにも自然に、心が彼を思っていた。
同性だとか、知り合ったばかりだとか、そんな多々の一般常識をも乗り越えて。
凌統は自分の中に流れる感情の正体に戸惑った。
〜〜〜♪
「わ!」
混乱した頭に携帯の着信音が流れてきた。
ほとんど夢心地で、凌統はかかってきた電話に答えた。
「…はい?」
『あ、凌統?劉備さんには会えた?』
「…っ!」
電話の相手は尚香だった。
早々に出てきた劉備の名前に、一瞬硬直する。
『凌統?』
「あ…ああ。姫。
ちゃんと会ったよ。大丈夫。」
『そう、ごめんね、わざわざ。』
「いや、かまわないけどね。」
そういえば陸遜が彼女の想い人の事を探るように言ってた事を伝えなければいけない、と
凌統は口を開こうとした。
だが先に声を出してきたのは相手の方だった。
『あ、それでね、凌統!聞いて。
劉備さんの事なんだけどね…。』
「うん?」
ふと尚香が話題を変えてくる。
劉備の事だというから耳を自然に傾けていた。
『あのねあのね!!
すっごい偶然なんだけどね?!』
「うん、何が?」
『今度ね、父様の命令でお見合いすることになったの。
絶対いやって思ってたんだけど…。』
ああ、やっぱり彼女にも話がいっていたのかと凌統は納得する。
そのわりには尚香の声音が明るいように思えるが…。
凌統の疑問は、次の言葉ですぐに答えを得た。
『その相手がね、なんと劉備さんだったの!!!』
「え…。」
『ねえ、これって運命じゃない?!
そう思わない?!ねえ凌統!!』
「……。」
尚香の声はもう凌統の耳には入っていなかった。
凌統は驚愕していたのだ。
尚香の言葉にあまりに衝撃を受けている自分に。
さっき別れたばかりの劉備の笑顔が、凌統の脳裏に浮かんでいた。
To be Continued…
ちょっとショック受けすぎでしょう凌統くん。
というわけでようやく話が動き始めてきました…。
今はレッドクリフのこともあり三国志がすごい話題ですねえ。
私も見に行ってきますvv
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